ここでは、一般財団法人 家電製品協会発行の「容器包装識別表示等に関する家電業界のガイドライン 第3版」から「包装形態別の容器包装の一括表示」に関する解説・表示方法・表示例等を記載しております。
<法定表示>識別表示の方法
基本事項
- 識別表示の方法は個別表示を行うことを原則とします。
- 一括表示は個別表示が困難な容器包装がある場合に限り行うこととします。
- 一括表示は、表示スペースに応じ、「部分一括表示」または「全体一括表示」を選択してよいこととします。ただしメーカーとしては消費者にわかりやすい表示に努めてください。
- 複合材料でできた容器包装(紙とプラスチックの貼り合わせなど)に表示するマークは、質量比率の大きな材料のマークを表示することと定められています。
【補足】
- 個別表示とは、容器包装を構成する各部品に識別表示を行うことをいいます。
- 一括表示とは、容器包装を構成する部品が印刷、成型などの工程を持たない場合、個別表示ができないので、その代わりに表示可能な容器包装に一括して表示を行うことをいいます。
一括表示には、全体一括表示と部分一括表示があります。- 全体一括表示:個別表示が省略された容器包装の構成部品のみでなく、個別表示がされている容器包装も含め、すべての容器包装の構成部品を表示した一括表示をいいます。
- 部分一括表示:個別表示が省略された容器包装の構成部品のみを表示した一括表示をいいます。
その他、識別表示につきましては、経済産業省「容器包装の識別表示Q&A」を参照願います。
包装形態別の一括表示
一括表示を行う場合は、包装形態により以下のように行います。
その他、一括表示につきましては、「容器包装識別等に関する家電業界のガイドライン第3版のFAQ」を参照願います。
段ボール容器包装
表示方法 | 表示例 |
---|---|
注)環境性能表示、PL表示、製品説明、リサイクルマークなどが印刷されている場合は、同一面に表示を行うことを推奨します。 |
【補足】
- 段ボールは識別表示を行う容器包装の対象ではありません。しかし、家電製品における段ボール容器包装では、消費者の目に最初に触れるのが外箱の段ボール箱であることから、段ボール箱上に一括表示を行うことを原則とします。
- 上記以外のダンボール容器包装の例につきましては、「家電製品包装における表示事例集」を参照願います。
紙製容器包装
表示方法 | 表示例 |
---|---|
注)環境性能表示、PL表示、製品説明、リサイクルマークなどが印刷されている場合は、同一面に表示を行うことを推奨します。 注)小さな製品で表示スペースが限られる場合は、底面に表示してください。空の個装箱をたたんだ際に表示が隠れないように配慮してください。 |
【補足】
上記以外の紙製容器包装の例につきましては、「家電製品包装における表示事例集」を参照願います。
フィルム容器包装
表示方法 | 表示例 |
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フィルムにすべて印刷がある場合
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― |
フィルムがすべて無地の場合
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パック品やセット品をおおう外装フィルムに印刷があり、内装フィルム(個装)が無地の場合
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― |
パック品やセット品をおおう外装フィルムが無地、内装フィルム(個装)に印刷がある場合
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― |
【補足】
フィルム容器包装は個装だけではなく外装にも多く使用されています。またフィルムに印刷が施される場合と無地フィルムで包装される場合とがあり、これらが組み合わされた包装も多く、消費者にわかりやすく表示を行うことが必要です。
シュリンクフィルム容器包装
表示方法 | 表示例 |
---|---|
シュリンクフィルムに印刷がある場合
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― |
シュリンクフィルムが無地の場合
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ブリスターパック、クラムシェル等のプラスチック製容器包装
表示方法 | 表示例 |
---|---|
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【補足】
上記以外のブリスターパック、クラムシェル等のプラスチック製容器包装の例につきましては、「家電製品包装における表示事例集」を参照願います。
袋容器包装
表示方法 | 表示例 |
---|---|
袋に印刷がある場合
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― |
袋が無地の場合
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【補足】
上記以外の袋容器包装の例につきましては、「家電製品包装における表示事例集」を参照願います。
一括表示を行う際の用語の定義
識別表示を一括表示で行う場合、包装の部品を表現するための用語は消費者に正しく理解される用語を用いる必要があります。部品を表す基本用語は、工業会単位で消費者の理解しやすい用語への変更を認められており、家電業界としては以下の用語を推奨することにしました。
一括表示の場合の表示推奨用語
表示推奨用語 ※1 | 部品名称 |
---|---|
箱 | 箱、スリーブ、トレイ、上板、個装箱、中箱 |
袋 | 袋、保護袋 |
シート | シート、保護シート |
フィルム | フィルム、保護フィルム、シュリンクフィルム |
緩衝材 | 緩衝材 |
パックまたはカバー | ブリスタ、クラムシェル |
タブ | タブ |
仕切り | 仕切り、保護パッキン、スペーサ |
固定材 | リング、帯、ホルダー |
台紙 | 台紙 |
ジョイント ※2 | ジョイント、接合(結合)具 |
バンド ※2 | PPバンド等 |
取っ手 | 取っ手、ハンドル |
※1 「表示推奨用語」は、資源有効利用促進法の省令「特定容器包装の表示の標準となるべき事項を定める省令」における、「役割名」としての「表示推奨用語」である。
※2 ジョイントおよびバンドについては、容器包装に該当する要件である「他の部分と一体となって商品を保護又は固定する」機能を有している物は対象、単に荷扱いや製品を束ねるために用いられるものは対象外である。
一括表示は表示推奨用語を用いることを原則とし、同じ部品名称が複数存在し、かつ複数の材料が用いられる場合など、消費者が判断しづらい場合は、対象を表記するなど補足語(付属品箱など)を用い消費者にわかりやすい表現をすることとします。
表示の色及び大きさ
印刷の場合
表示色 | サイズ |
---|---|
|
法定上のサイズは
と定められていますが、家電業界では視認性を高めるために次の寸法を推奨しています。 <家電業界が推奨する寸法> |
刻印、エンボス、成型による表示の場合
表示色 | サイズ |
---|---|
特に定めません。 |
法定上のサイズは
と定められていますが、刻印、エンボス、成型による表示は、マークと背景が同じ色であり、消費者にマークの存在がわかり難い傾向があることから、家電業界では視認性を高めるために次の寸法を推奨しています。 <家電業界が推奨する寸法> |
【補足】
- 経済産業省「容器包装の識別表示Q&A」ではプラマークまたは紙マークの寸法は、上下の長さが印刷、ラベルの場合6mm以上、刻印の場合8mm以上と決まっています。(経済産業省「容器包装の識別表示Q&A」)本ガイドラインでは印刷、またエンボス・成型による表示品質を考慮して推奨寸法をそれぞれ12mm、30mmとしましたが、視認性が維持でき、かつ包装の大きさに伴う表示スペース、また表示品質が確保できる範囲であれば、6mm以上、8mm以上の表示も可能です。
- 容器包装識別表示マークのデザインは、製造機械などによる制約、印刷、金型による表示品質を考慮し、使用するフォント、スリット、線幅など、デザインの変更が認められています。用いるマークはオリジナルを基本としますが、上記理由によるフォント、スリット、線幅の変更は、各社に委ねられています。
自主表示項目
以下は法律上の必須事項ではありませんが、各社の裁量により表示を行ってください。
材料表示との併記
海外で生産し、日本で輸入を行っている製品など、識別表示と材料表示を併せて表示する場合、材料表示は JIS K 6999(ISO 11469)「プラスチック-プラスチック製品の識別及び表示」の表記方法に従い、JIS K 6899-1~4で規定された材料の記号をくぎりマーク“>”及び“<”で挟んで、識別表示の近傍に表示することを推奨します。
例) |
また複合材料の場合は、JIS K 6999に基づき、次のように表示します。
- 表面の材料記号を最初に記載します。
- 2番目以降はその他の材料記号をカンマで区切って表面の材料記号の右側に記載します。(順序は任意)
- 質量比率が最も大きな材料の記号の下にアンダーラインを引きます。
例) |
上記の例は紙(P)とポリエチレン(PE)の複合素材で、紙が表にあり、紙に比べてPEの質量比率が大きな場合を表しています。
【補足】
- 経済産業省「容器包装の識別表示Q&A」では、プラスチック製容器包装の材料表示は、JIS K 6899-1:2015(ISO 1043-1:2011)「プラスチック-記号及び略語-第1部:基本ポリマー及びその特性」で定められている記号を用いて行うことを推奨しています。また、複合材料及び複合素材については、主要な構成材料を含め、2つ以上を表記し、主要な材料に下線を付すことを推奨しています。
-
またプラスチック製容器包装の材料表示で用いられる記号の一例として
- ポリエチレン:PE
- ポリプロピレン:PP
- ポリスチレン:PS
- アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂:ABS
段ボールのリサイクル推進シンボルの表示
段ボールリサイクル協議会では、段ボールのリサイクルを推進するために「段ボールのリサイクルマーク」の表示を推奨しています。
段ボールのリサイクルマークの例
段ボールのリサイクルマークを表示する際は、同協議会発行の運用マニュアルに従ってください。
段ボールリサイクル協議会「段ボールのリサイクルマーク 運用マニュアル」を参照願います。
- 表示位置は、他の識別マークの近傍を推奨します。
- マークの表示方法は、本ガイドラインに添付した事例を参照してください。